ジャズセッションの場で頻繁に演奏されるスタンダード曲、There will never be another you。
1942年のミュージカル映画 『ICELAND』の挿入歌だそうです(今知った)。
どんな映画かというのは、こちらのブログとか、こちらのブログに書いてあります。
残念ながら、日本では上映されなかったみたい。
映画の中の、ナイトクラブのシーンでバンドが演奏しているのがこれみたい。
そうなんだ。
この曲、ジャズセッションに行きだした初期のころに覚えたのですが、実をいうとセッションの場で聴いて覚えたもので、原曲なりジャズの名演を一切聴かず吹いてました。
その頃(10数年まえ)、みんなが見ていたのが、スタンダードジャズハンドブック、通称青本。
そのときは、みんな、この譜面に沿って演奏していました。
ところで、最近、「ジャズ・スタンダード・バイブル 」という本が出版されました。
表紙が黒いので、「黒本」と言われているもの。
セッションのシーンでよく見かけるかと思います。
で、どっちにもThere will never be another youは掲載されているんですが、コード進行、この2冊ですこし違う。
Bメロの2小節めが、青本はA♭m - B♭7で、黒本はB♭7(#11)。
これは、セブンスコードをツーファイブに分解しただけなんでほぼおなじようなもの。
Bメロの4小節目がちょっと違う感じです。
青本はCmにいくマイナーのツーファイブ(Dm7♭5 - G7)がありますが、黒本はF7にいくサブドミナントのCm7があって、4小節目と5小節目でツーファイブの関係になっています。
ところで、最初にあげたミュージカル版、今、スタンダードジャズとして演奏されるコードとちょっと違います。
キーは違うのですが、比較のため、青本、黒本にあわせて、E♭キーに直して書いてみました。
まず、3小節め。
Dm7(♭5)と書いている譜面が多いのですが、オリジナルはスチールギターの音が露骨に5度でDm7。
この部分、ジャズの演奏でも、Dm7でアドリブとっているシーンがけっこう見受けられます。
あと、Bメロ、2小節め。
機能的には、サブドミナントマイナーのA♭m7で、
青本は、それをⅡ-Ⅴに分割してます。
黒本は代理コードのD♭7一発。
オリジナルは、Fm7(♭5)
D♭7の上のほうにも見れるし、A♭m7のベースをFにしたとも見れる。
似たような意味合いのコードなんですが、ちょっと、印象は変わりますね。
なんか、ミュージカルっぽい。
ラスト、B'の5小節めの3拍め、ジャズの譜面はA♭なんですが、オリジナルはDで、増4度違い、裏表の関係。
オリジナル版何度か聴くとスチールギターの音が耳に残って、やっぱり3小節めはDm7の方がいいなぁ、と思いはじめてしまいます。
ちょっと気になったので、手持ちのReal BookとNew Real Bookの譜面も見てみました。
Real Bookは、オリジナルのFm7(♭5)のコードが書いてあります。
B'の5小節めも、E♭△7 - D7の流れがある。
New Real Bookは黒本に近い感じ。
いずれにせよ、Bの4小節めにDm7(♭5)-G7の流れはない。
自分で採譜したCDもDm7(♭5)-G7の流れはなかったので、黒本のコード進行で慣れておく方が良さそうです。
ところで、セッション行き始めたころ教わった、半音上がって戻って終わる、っていうエンディングのパターン。